( Interview )
「必要とされる限り70歳になっても80歳になってもここで働き続けたい」。
高垣工務店 新築事業部 西本由紀子さん
"泣いて、笑って、人生トゥギャザー"を掲げる工務店で輝く事業部長
4回目の転職で未経験だった住宅営業の世界に飛び込んだ株式会社高垣工務店(和歌山県田辺市)の西本由紀子さん。入社13年目の現在は、7人の部下を抱えながら、新築住宅事業を盛り立てています。そんな西本さんの仕事でのやりがい、目指す姿をお伺いしました。

株式会社高垣工務店
新築事業部 取締役事業部長
西本 由紀子さん
和歌山県印南町出身。高垣工務店の協力会社としてインテリア提案・設置に関わっていたときに石山氏から声をかけられ、2012年に中途入社。営業活動を担う窓口担当と新築事業部の事業部長を兼任するプレイングマネージャー。
40歳で建設業界へ。人と接する仕事が好き
「泣いて、笑って、人生トゥギャザー」をコーポレートブランドに掲げる高垣工務店(和歌山県田辺市)は、今年で創業73年、新築事業を始めて50年の節目を迎えました。住まい手の人生に寄り添う「人生参加型工務店」として、住宅の新築(年20〜25棟)、リフォーム、アフターメンテナンスを手がけています。
社内外から「ゆっけさん」の愛称で慕われる西本由紀子さんは、同社の主力事業である新築事業部の取締役事業部長を担っています。7人の部下を率いて部門全体を管理しつつ、自身も複数の顧客を担当し、新築住宅の営業から打ち合わせ、引き渡しに深く関わります。
高校卒業後、写真スタジオ、病院事務、インテリアショップ、と異なる業界を経験してきた西本さんに転機が訪れたのは40歳の時。
インテリアショップのスタッフとして、新築住宅にオーダーカーテンを提案・設置する仕事をしていた西本さん。仕事を通じて知り合った高垣工務店がつくる住まいと、社員の分け隔てのない人柄に触れるたびに、密かに「この会社で働けたらいいな」と思い続けてきたそう。
ある日、「高垣工務店に来ませんか?」と石山登啓社長から声がかかります。提示されたのは住宅営業のポジション。
「嬉しい!一緒に働きたい!」という気持ちとは裏腹に、営業職の経験がなかった西本さんは辞退することを選択しました。
「なんと社長が私の自宅まで来て、勝手に夕食の鍋を囲みながら『娘さんは僕が責任を持って面倒を見て育てますから』と母を説得してくれたんです(笑)。そこまで私を必要としてくれるなら、と入社を決めました」。

もともと家やインテリアは大好きだったものの、建築系の資格や専門知識がないことが不安でした。けれども、入社すぐに石山社長の営業に同行し、お客様と近い距離で嬉しそうに話す姿を見て「こんな風にできたら楽しいかも」と気持ちがフッと楽になり、未経験の建設業界にスムーズに足を踏み出せたといいます。
「振り返ると、私の職業人生の共通点は“人と接する仕事”だということ。すごく人見知りなのに、仕事を通じて人と関わるのが心底好きなんだと思います」。
ストレスフリーだから気持ちが疲れない
西本さんのある1日のスケジュール
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6:00
シャワー、朝食、メイク
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9:00
出社、朝礼、当番制の社内清掃
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10:00
お客様との打ち合わせ
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12:00
ランチ
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13:00
お客様との打ち合わせ、フォロー中のお客様へのメール・LINE、HP更新、不動産会社訪問、社内会議、部下の営業相談対応など
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18:00
会議や打ち合わせの準備、契約書作成
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20:10
車にて帰宅、母と夕食・雑談、YouTube視聴
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24:00
就寝
「この仕事の良いところは、体は疲れても気持ちが疲れないこと。会社でのストレスがほぼないので、家に帰ってため息をついたり、ベッドに倒れ込むようなことはありません」と西本さん。

西本さんのマストアイテム
仕事のマストアイテムは、スマートフォン、3色フリクションペン、のど飴、そしてお客様からのプレゼント。
スマートフォンは、在籍が長い西本さんならではのスタイル。お客様との縁が途切れたり、無用な登録変更の手間をかけさせないために、会社用スマホを辞退してあえて個人用を使い続けているそうです。図面に描き込んで、間違えたら消せるフリクションペンは住宅営業の必須アイテム。
のど飴は、「「話す」のが仕事なのでのど飴は手放せない。定番の味が好きです。」とお話しいただきました。お客様からいただいたパンダのぬいぐるみやビーズアクセサリーはデスクに置いてある、仕事の活力になる癒しアイテムです。
ANDPADが人を育てる難しさから解放してくれた
高垣工務店ではANDPADを、施工管理や図面・資料の共有、電子受発注はもちろん、営業活動にもフルに活用しています。
週1回の営業会議では、ANDPADの社内タスク管理の画面を見ながら、自分たちで決めた営業フローに対して電話やメール、訪問がきちんと行えたかを1件ずつ確認。アナリティクスデータを使って営業ステップに問題がないかも営業メンバー全員で丁寧に紐解きます。

さらに、西本さんと営業スタッフが1対1で対話する「ゆっけの時間」を個別に設け、案件ごとの進捗や改善点を細かく詰めて、受注確度を上げる取り組みもしています。
ANDPADで大きく変わったのは、「部下に的確な指導ができるようになったこと」だと西本さんはいいます。
「社長も私も“感覚”の人間なので、これまでは感覚で部下を褒めたり叱ったりしていたと思うんです。彼らからすると、なぜ褒められたのか、なぜ叱られたのかがわからず混乱したり、上司にきちんと評価されていないというモヤモヤがあったかもしれません。でもANDPADのおかげで、やった業務とその成果が誰が見ても明確にわかるので、褒める時も叱る時も納得感のある根拠をデータで示せるようになりました。“人を育てる仕組み”と“受注につながる仕組み”を営業メンバーと一緒につくっている感覚です」。

基本となる営業フローに、自分たちが試して成功した「勝ちパターン」を乗せてANDPAD上でブラッシュアップしていくことで、これから入社する新人が営業しやすい環境をさらに整えたいと考えています。
「西本さんでよかった」の一言が私を満たしてくれる
「仕事で一番やりがいを感じるのは、お引き渡しの時に『高垣工務店にお願いして本当によかった』『西本さんでよかった』が聞けた時。もうこの1言で私は満たされるんです。多分、承認欲求が強いんだと思います(笑)」。
自身が何度も味わってきた“満たされる経験”――人の役に立てた、人に認めてもらえたという実感こそが仕事の“やりがい”に通じると考え、若いスタッフにもそれを体験させてあげたいといいます。
「1度でも満たされた経験をすると、この仕事を辞めようとは思わないはず。失注やクレームで落ち込んだ時も、過去に私たちを選んでくださったお客様のことを思い出すだけで自然と乗り越えられますから」。
西本さんは、自身の強みを「空気を読まないところ」だと分析します。
「会話の流れに関係なくその時話したいことを話し、時には核心を突く質問をするので、お客様は『この人には何でも言っていいんだ』と捉え、距離を縮めてくれるのかもしれません。家づくりでは、お客様の心の奥に隠れている本音をいかに引き出すかが大事なので、それを躊躇なく聞き出せるこの性格に生まれてよかったと思います」。
業界のDXに期待しつつ自分たちらしさを大切に

西本さんが今後DXに望むこととは?
「ANDPADがまさにそうであるように、デジタルはこれまで見えなかった見たいものをちゃんと見えるようにしてくれるツールだと思っています。それによって仕事がすごくしやすくなったし、自分たちの弱点はどこで何を潰せばいいかも明確にわかるようになりました。今後もその進化にも期待する一方で、“自分たちの色”を失わないための努力や工夫は要るなと考えています。例えばAIの力を借りることで施工事例やブログの作成は大幅に効率化できるけど、どこか既視感のあるものの寄せ集めになりかねない。うまく付き合って“高垣工務店らしさ”を放ち続けたいですよね」。
価値ある仕事をできる限り続けたい
西本さんは住宅営業を「人生で一番高い買い物である“家”を扱う、価値の高い仕事」だと表現します。
「70歳になっても80歳になってもできる限りこの仕事を続け、若いスタッフたちが一人前の営業として輝ける“型”をつくれたらいいなと思っています。それが叶うなら後悔はありません」。
株式会社高垣工務店:
https://takagaki.net/
ANDPAD ONE|「受注棟数半減」の危機を乗り越えて営業組織を再構築、データ経営に舵を切った地域工務店の挑戦:
https://one.andpad.jp/magazine/15957/
Women AND Construction 特別座談会開催レポート:
https://page.andpad.jp/and_women2025/report/
取材・文/金井 友子 写真/大丸 大樹