( Interview )

オフィスから遠隔で現場を管理し、理想の家をカタチにする
リストホームズ株式会社 建設事業部 城津 怜さん

アパレル業界から建築業界へ転身、建設ディレクターとして職人から頼られる存在へ

建設業で挑戦と成長を続ける女性たちにスポットを当てる「”Women” AND Construstion」。今回は、アパレル業界から建設業界に飛び込んだ、リストホームズ(神奈川県)の城津怜さんにインタビュー。現在のワークスタイルやものづくりへの想い、仕事のやりがいなどを聞きました。

城津怜氏

リストホームズ株式会社
建設事業部 ディレクター
城津 怜さん

大学・専門学校のWスクールで服飾を学び、新卒で国内のファッションブランドに入社。販売職を経てパタンナーとなり、服づくりの設計職として経験を積む。その後、新たなものづくりにチャレンジしたいとの想いから、2021年にリストホームズへ中途入社。未経験者ならではの発想を活かしながら、工程管理全般を担うディレクターとして活躍中。

ものづくりへの想いを胸に
アパレル業界から転職

神奈川県横浜市の本社を拠点に、横浜・湘南エリア、東京都の城南エリアにおいて、戸建住宅の分譲事業を展開するリストホームズ。土地の仕入れから企画・設計・施工まで手がける自社一貫体制を強みに、年間150棟ほどの分譲住宅を販売しています。

「当社は、地域の特性に合わせたコンセプトを大切に家づくりに取り組んでいます。湘南であれば、海が好きな移住者を想定したサーファーズハウスを建てたり、犬の散歩をしている人が多いエリアであれば、犬との暮らしに役立つ設備を多く取り入れたり……お客様が『自分のために建ててくれた』と感じるような、心に”刺さる”家づくりにこだわっています」と、城津さんは自社の家づくりを楽しそうに話します。

そんな城津さんは、建築業界未経験でリストホームズに入社。転職活動のキーワードは「ものづくり」だったそうです。

「誰かの手で形づくられて、人が喜んでくれるようなものに関わりたいと考えていたときに、当社に出会いました。面接で印象的だったのが、会社の良い部分だけではく、悪い部分も包み隠さず話してくれて、その上で『一緒に変えていってほしい』と熱く伝えてくれたところです。当時は、施工管理の業務内容を想像できていませんでしたが、とにかくワクワクしたのを覚えています。」

社内から遠隔で現場を管理
ANDPADは業務に欠かせないツール

リストホームズでは、戸建住宅の工事現場の管理を2名体制で行っています。ひとりは、社内で工事のスケジュール管理をしたり、協力会社の手配・調整をしたりする「ディレクター」。もうひとりは、現場を巡回し、安全管理や検査を行う「フォアマン」です。城津さんは、入社以来ディレクターとして活躍しています。

「私たちディレクターの主な業務内容は、工事のスケジュール管理を行う工程表の作成、職人さんに共有する地図や図面といった資料の管理、現場写真の管理・状況確認です。職人さんとは基本ANDPADを介して資料共有や作業依頼、日程調整をしています。オフィスでの業務が基本ですが、現場に足を運ぶ機会もあります」と城津さん。

城津さんのある1日のスケジュール

  • 8:30

    オフィスに出社、当日のスケジュールを確認

  • 9:00

    ANDPADで各現場の工程を確認、チャットに対応

  • 12:00

    ランチタイム

  • 13:00

    設計担当と新規物件の打ち合わせ

  • 14:00

    新規物件の図面チェック、協力会社へ連絡

  • 15:00

    図面等の資料をANDPADに格納、チャットに対応

  • 18:30

    チャットがないか最終確認し、退社

城津さんのマストアイテム

「私の業務はANDPADがなければ成り立ちません。マストアイテムは、すべてANDPADを利用するためのものです」と話す城津さん。電車での移動中はスマホで現場の情報をチェックし、現場ではタブレットで職人さんと確認や調整を行うそう。社内勤務や在宅でのテレワークでは、PCとタブレットでANDPADを開き、2画面を確認しながら業務を進めるといいます。

設計と現場をつなぐ役割を担い
全員が笑顔になる家をつくる

城津さんはリストホームズ初の女性ディレクターとして入社しています。入社当時はディレクター・フォアマン2名体制での現場管理をはじめたばかりで、「最初は苦労も多かった」と当時を振り返ります。

「入社当初はまだ知識がなく、上司に確認しながら職人さんの質問に答えていたので、電話で1日が終わることもしばしば。『現場に来ないでチャットであれこれ指図してくる』といった職人さんからの反発もありました。ただ、現場訪問の機会を増やしたり、根気強くチャットでコミュニケーションを続け、職人さんに私自身のことを知ってもらう努力を続けたところ、徐々に『知らないのなら教えてあげよう』といった雰囲気に変わり、細かく丁寧に教えていただけるようになりました」

写真:現場にてANDPADを活用し、城津さんとコミュニケーションを取る職人さん。

入社から5年、「私は今でもずっと職人さんに育ててもらっている」と笑顔で話す城津さん。現在では、職人さんとの信頼関係が仕事のやりがいになっていると言います。

「最近では、私が伝えきれなかった部分を職人さんが汲んで『こんな感じでどう?』と形にしてくださるようになり、本当に助かっています。工事の完了報告を受けたときには必ずお電話をして感謝を伝えているのですが、そのときにご自身の仕事を誇らしげに話してくださると心から嬉しくなります」

また、城津さんは、もともと洋服づくりに関わっていたからこそ、職人さんの想いに共感することも多いそうです。

「図面通りにいかないことが起きたときに、職人さんと一緒になって考え、形にしていけるのは施工管理にしかできない役割だと思っています。私の伝え方・言葉が設計と現場をつなぐかけ橋となり、想像以上の家が仕上がったとき、お客様が喜ぶ家をつくることができたときにはやりがいを感じます」

フルフレックスタイム制を採用
プライベートが充実してこそ良い仕事ができる

入社前の面接で「今は残業が多い、でもこれから業務を効率化して減らしていく」と伝えられていたと、城津さんは明かします。その後、実際に残業は減少。フルフレックスで働く城津さんは、「業務やプライベートの予定に合わせて柔軟に勤務時間を調整できるので働きやすい」と笑顔です。

「上長が『家族第一』の方針を掲げているので、みなさんお子さんの学校行事、ペットの通院などで当たり前のように休暇を取っています。むしろ大事なイベントの日に出社していると、『なぜ会社にいるの?』と責められます(笑)。ANDPADで全員が状況を共有しているので、ひとりで抱え込まずにお互いにフォローし合えるというのも大きいです。子育て中の社員も多くいるので、ライフステージが変わっても仕事とプライベートを両立できそうだと感じています。」

クリエイティブな仕事に集中するために
今後も業務効率化を進めたい

「建築は、言葉ひとつで形や仕上がりが変わったり、職人さんによって家の表情が大きく変わるクリエイティブな仕事」だと実感していると話す城津さん。今後もデジタルを活用し、「業務効率化やペーパーレス化を進めて、自社だけではなく職人さんの働き方も変え、クリエイティブな仕事に集中できる時間を増やしていきたい」と意欲的です。

職人の手仕事を世に広め
建設業界のイメージを変えていきたい

城津さんは、業界全体のイメージを変えていくチャレンジにも前向きです。「建築現場には、そこに住むお客様のために、一生懸命に考え抜き、工夫を凝らしている優しい職人さんたちがいます。職人さんが長年受け継いできた技術の奥深さを、今後もっとアピールしたいです」

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