( Interview )
「ライフステージが変わっても現場監督を続けたい」。
上村建設 工事部 佐々木麻奈さん
国家資格を取得して後輩たちのロールモデルに
建設業で挑戦と成長を続ける女性たちにスポットを当てる「“Women” AND Construstion」。今年5月からマンションの新築現場の現場代理人として活躍する、上村建設(福岡県)の佐々木麻奈さんに、仕事のやりがいや今後のキャリアプランを聞きました。

上村建設株式会社
工事部
佐々木 麻奈さん
2022年工学系大学の建築学コースを卒業後、新卒入社。父が建設業に携わっていたことがきっかけで、小学生の頃から建築業界を志す。もともと設計志望で入社したが、現場の面白さを実感し現在も施工管理を行っている。2級建築施工管理技士。2025年5月から、現場代理人として現場を担当している。
設計志望から一転
入社後に現場の面白さを知る
福岡県の上村建設は、マンションや戸建住宅、公共施設、商業施設といったさまざまな建設工事を展開する総合建設業です。1959年の創業以来、福岡県に根ざして、福岡市動植物園のオランウータン舎や福岡市青果市場のベジフルスタジアムなど、地域の人々に親しまれる建物を数多く手掛けてきました。

佐々木さんは大学の建築学コースを卒業後、2022年に上村建設に入社しました。現在は、マンションの新築現場で施工管理の業務を行っています。お父さんが建築の施工管理のお仕事をしていた影響で、小さい頃から建設現場が近い存在でもあり、業界で働くことを目指していました。「学生の頃は、建設業で働く女性といえば設計の仕事というイメージを持っていました。ものづくりが好きだったこともあり、大学では設計の勉強をして、入社当時は設計部門を志望していました」と振り返ります。
上村建設では、業務への理解を深めるために、新入社員ははじめに現場へ配属されます。佐々木さんは、「現場で働くうちに面白さに気づきました。毎日、さまざまなことが起きて大変ですが、工夫して課題を解決したとき、建物が完成したときのやりがいはひとしおです」と語ります。
慌ただしい現場でも自分らしく
メモとリマインダーが業務のコツ

現場での仕事は、朝礼の前に解錠することからスタートします。「朝礼が8時なので、その前に出勤します。日によって業務は異なりますが、現場と現場事務所にいる時が多く、本社の会議にリモートで参加することもあります。写真を撮ったり、協力会社と打ち合わせをしたりしていると、あっという間に1日が過ぎます。定時は17時で、施錠して帰路に着きます」(佐々木さん)。
佐々木さんのある1日のスケジュール
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07:00
現場を解錠、事前打ち合わせなど
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08:00
朝礼
現場事務所で事務作業、業者と打ち合わせ、配筋検査など -
17:00
現場を施錠
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18:00
終業

佐々木さんのマストアイテム
必ず持ち歩くアイテムは、スマートフォン、タブレット、赤鉛筆・フリクションペン・ボールペン。 「スマートフォンやタブレットは、メモを取ったり、普段の連絡やANDPADを使った作業に欠かせません。赤鉛筆は、通常より太いものです。現場で墨出し(設計図面の情報を現場に反映させるため、壁や床、柱などに線や寸法を書き出す作業)をするときに欠かせません。フリクションペンは、現場で書類を訂正しやすいように。ボールペンは荷受けのサインなどに使っています」と使い道を説明します。
時には現場で手を使う作業もあるそうですが、「ネイルをして爪の汚れを隠しています。特別派手でない程度に髪をカラーリングしたり、ネイルしたりして、おしゃれを楽しみながら仕事ができています」と笑顔を見せます。

慌ただしい現場ならではのANDPADの活用方法も聞きました。「施工状況の写真を撮ってアップすると、上司が別の場所にいてもすぐに確認ができるので、撮り直しが必要な場合にはすぐに指示をもらえます。撮影と確認のタイムラグがないので、業務がとてもスムーズになりました」と佐々木さん。ANDPAD上で他の担当者の案件をチェックして、現場写真の上手な撮り方を研究することもあるそうです。
他にも、「重要な変更点などをANDPAD上の図面に直接書き込んで、関係者とリアルタイムで共有しています。現場では、次から次にやるべきことが出てくるので、忘れないように必ずメモを取り、リマインドするようにしています」と仕事のコツを明かします。
定時後や週末には、編み物や、学生時代に吹奏楽部で鍛えたサキソフォンを楽しんでいるそうです。「最近、楽器を手に入れたので、地域のブラスバンドのサークルに入りたいと考えています」と目を輝かせます。
2級建築施工管理技士を取得
受験資格を満たして1級にも挑戦
今は「施工管理の仕事がおもしろい」と話す佐々木さんですが、現場へ配属された当初は、業務量の多さに会社を辞めたいと思ったこともあったといいます。「上司に相談して、アドバイスをもらいました。施工管理を行う際は、いかに効率よく、周囲に協力してもらうかが大切だとわかったんです。それがきっかけで、仕事の進め方をつかめるようになりました」(佐々木さん)。

佐々木さんは今年、2級建築施工管理技士を取得し、この5月から現場代理人としてマンションの新築現場を任されています。「私は小柄なので、施主様や協力会社の方々に少しでも信頼してもらいたいと考えて、国家資格の2級建築施工管理技士を取得しました。今年で実務経験年数が3年間になるので、1級建築施工管理技士を受験できるようになります。仕事と勉強の両立は簡単ではありませんが、チャレンジしようと考えています」と前を向きます。
後輩のロールモデルに
働きやすさの変化も実感
入社4年目を迎え、後輩から頼られることも増えてきたという佐々木さん。自分自身の経験やキャリアを後輩たちのロールモデルにしてほしいといいます。「後輩から相談を受けると、一緒に食事に行ったり、女子会を開いたりしてコミュニケーションを取っています」。
また、マネジメント層とのコミュ二ケーションや、長期休暇の取得を推奨されるなど、働き方にも変化を感じているとのことです。「従来、建設業といえばハードワークのイメージが強かったと思いますが、最近は働きやすさにも配慮されてきたと感じます」(佐々木さん)。
ライフイベントを経ても
働き続けられる環境づくりを

その一方で、将来のライフイベントを考えると、建設業にはさらなる変化が必要だと佐々木さんは考えています。「出産や子育てといったライフイベントを考えると、働き方を変える必要があると考えています。特に、建設の期間が長い新築の現場では工夫が必要だと思います。例えば、現場にカメラを通じて、リモートで指示ができるなどの環境が整えば、女性のライフステージが変わっても仕事を続けやすいと思います」と指摘します。
近年は、建設現場にカメラを設置して、防犯や監視を行うケースも増えてきたといいます。デジタル技術を活用することで、女性だけでなく、多くの人が働きやすい現場を実現できるのではないかと佐々木さんは話します。
現場監督を続けて
さまざまな建築物に挑戦
入社前に希望していた設計の仕事ではなく、「この先、さまざまな変化があっても、会社と相談しながら現場監督の仕事を続けたいと考えています。将来は、鉄骨の大規模建築物など、さまざまな建築の仕事も経験してみたいですね」と佐々木さんは前を向きます。
上村建設株式会社:
https://www.e-uemura.jp/
ANDPAD導入事例 | 上村建設株式会社:
https://andpad.jp/cases/uemura_kensetsu
Women AND Construction 特別座談会開催レポート:
https://page.andpad.jp/and_women2025/report/
取材・文/山下幸恵(office SOTO) 写真/パン・フィールド